境内に満開の白い花
富松神社の境内には4月20日頃になると、決まって真っ白な花を満開にする花木があります。ヒトツバタゴという木です。別名はナンジャモンジャ、長崎県内では対馬の最北の港・鰐浦に自生し、國の天然記念物に指定されています。この花が咲くと鰐浦湾が真っ白に映えることから、ウミテラシとも言われます。
この木が我が神社の境内でも、今は盛りと咲いています。大村市池田町に一瀬前次という教育者がおられました。神社にもよくご参拝いただき、ある日、2本の苗木を持参され、境内にと献木されました。昭和55年頃の事です。それから40年余が経ち、小さかった苗木も今や成木となって、毎年、目映いばかりの白い花をつけてくれます。
昭和天皇はこのヒトツバタゴを歌に詠まれました。次の御製です。
我が庭の ひとつばたごを 見つつ思う
海の彼方の 対馬の春を
昭和50年頃、上対馬の町長さんが昭和天皇さまはお花が好きと聞いて、宮内庁にヒトツバタゴを持参します。しかし御所への献木は難しい中に、時の宮内庁次長が機転をきかせ、珍しい花木だからと、内々に御所のお庭に植えるのです。
数年後、陛下は花を咲かせたヒトツバタゴに殊の外喜ばれ、「海」の御題の歌会始で上記の和歌をお詠みになられました。