寅年に寄せて
今年、最初のコラムとなりました。まだまだお正月の混雑が続いており、今年最初のコラムがこの時期になってしまいました。昨年のお正月と打って変わり、沢山の方々にお参りいただきました。
今年は寅年。お正月には「正月祓い」といって、家々をお祓いして廻る習慣があります。市内の鈴田という集落を廻ると、そこには寅夫さん・熊男さん・鹿雄さんという名前の方が隣同士におられました。寅夫さんはおそらく寅年生まれだったのでしょう。寅のように強く。熊男さんと鹿雄さんは、熊のようにたくましく、鹿のようにスマートにいう願いが込められて、名前が付けられたのでしょう。
戦前生まれ方々には、この様に動物名を名前にする事がよく見られましたが、最近はめっきり少なくなりました。その中でも寅は、たくましさの象徴、今年生まれた赤ちゃんには、「寅男君」というのはどうでしょう。私の親戚にも「寅太郎」という人がいて、「寅ちゃん」として親しまれていました。
寅といえば「フーテンの寅さん」、柴又生まれのこの寅さんは寅次郎といいました。一世を風靡した映画の主人公です。寅さんが生まれた葛飾柴又辺りの古い戸籍が、奈良の正倉院に残っています。奈良時代の721年には、この地に「刀良」(とら)という33歳の男性が居たことが分かってきました。寅さんの名前はこの「刀良」に由来したのでしょう。
当時、見た事も無かった虎(寅)、しかし想像上の動物として日本人には、憧れの動物でした。