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一本の木から絵馬ができるまで①

昨年の5月末、兼務神社の総代さんから「境内の木を切るのでお祓いをして欲しい」という電話がありました。大地や草木に神性を見出す神道ですから、出来うる限り境内の木は切らない。長く生きている木ならなおさらというのが常ですが、盛り上がった根っこが石柱を持ち上げて今にも倒してしまいそう。いよいよ見過ごせない状況になってしまったので総代さんとお話し、残念ながら伐採することに。

植木屋さんが作業に入る前に長年この地に生きた木霊を鎮め、大地に報告をする<木伐祭>を行い、この槙の木(まきのき)を伐採する運びとなりました。
年に数度このような依頼が神社にありますが、毎回私たちよりも大先輩の木を切る機会に立ちあうと少し申し訳ないような、寂しいような気持ちになります。ですが、だからこそ神主を招いてお祓いをするという日本人の美しい自然観が見て取れる機会でもあります。

事情があるにせよ、人間の都合で切ってしまうこの木を何かに使うことが出来ないかと数日ぼんやりと考えていると、ふと閃いて、参拝者の祈りを留める絵馬にしてはどうだろうか。それもただの絵馬ではなくて、木材の端のミミと呼ばれる部分も残して、よりこの絵馬が一本の木から作られていることを感じてもらえるような絵馬。
また日本人は語呂を大事にする慣習もありますので、神様に「願いを聞いてもらう耳」と、「材木の端のミミ」をかけてみてはどうかと思いつきます。

さて、どんなものが出来るか。伐採した材木の一部をもらい受けて製材所に持ち込み絵馬作りの始まりです。

制作の様子を引き続きご紹介してまいりますのでご笑覧頂ければ幸いです。

職員2名で腰を痛めそうになりながらもなんとか車に詰め込んで製材所へ向かいます。